憂鬱ラヂオ

どれほどあなたのこと思う

スパルタの狐 17

それから次の日、バイトから帰って来た慎吾はすごく興奮した様子で、煙草をふかしながらテレビをぼーっと見ていた私に覆いかぶさっていきりこんでこう言った。「亜澄!!二人で暮らそう」私はびっくりして「えっ、でもお金どうするのよ」慎吾は私の上から退いて「毅の金隠してある場所、俺見つけちゃったんだよね」「くすねる気!?」「そうさ」呆れてものが言えなくなった私に慎吾は「今すぐ支度しろ。物件探しに行くぜ」
私達は小さなアパートを見学してすぐにここに住むと決めた。と言っても全て慎吾任せなんだけれど。でも悪そうな部屋ではなかった。
次の日、朝から慎吾と私は荷造りを始めた。毅が起きてきて「なんだなんだ、なんでこんなに段ボールが」「亜澄と二人暮らしするんだ。たけちゃんさよなら~」毅はベッドから勢いよく跳ね上がって「なんだって!?…………そうか。お幸せにな」私は毅の顔を盗み見た。一瞬寂しそうな顔をしたけどすぐにいつも通りの顔に戻った。無理に戻したのだとすぐに分かった。
「亜澄見ろ!ここが俺達の新しい部屋だ!」子供の様にベッドにダイブして慎吾はとてもはしゃいでいた。「来いよ」私はベッドに近付いて慎吾の傍に行った。抱き締められ激しい接吻。そのまま荷解きもせずに私達は交わって私は疲れて気を失う様に眠った。
慎吾に勝手に携帯をいじられて毅や拓海の電話番号とメアドを削除されたが、私は毅と拓海の番号を記憶していたので無駄だった。慎吾はバイトへ行ったから、毅に電話をかけた。電話はすぐに繋がった。「亜澄!?亜澄か!?」「そうだよ」「会いたい、隣で……その、……慎吾としてたとき俺はたまらなかった。今すぐ会いたい」「今日休みでしょ?私慎吾に連絡先消されて番号とか分かんなくなってたんだけど、私って昔からずる賢いから……覚えてたのよね。毅の今日が休みってのもね」そう。私は昔からずる賢い。歪みながら、好んで歪んだ訳じゃないのに、そう生きてきたから。「住所言うから来て」「分かった。ぶっ飛ばして行く」
アパートの前にエンジンを吹かす音が鳴り響いた。毅のだ。私は玄関の扉を開けて、そしたらすぐに毅が抱き着いてきた。「亜澄……会えて嬉しい。俺、駄目だ、今すぐ亜澄としたい」更にきつく抱き締められ「私も」と言って二人でベッドになだれ込んだ。私はおかしい。きっと狂ってる。頭のネジ三個ぐらい抜けてそう。エクスタシーを感じながら私は私を自分で嘲笑った。