憂鬱ラヂオ

どれほどあなたのこと思う

スパルタの狐 13

私が拓海を初めて見つけたのは、慎吾達にバトルを一緒に見に行かせてくれたあの日だった。表では平気を装ってる顔…でも、内心めちゃくちゃ落ちてる。私も小さい頃そういう子供時代を過ごしてきたからそんな雰囲気を持つ人を当てる事が出来た。私はまたしても一目惚れしてしまった。バトルが終わって、慎吾がナイトキッズの人達とおどけている間に私は意を決して拓海に声を掛けたのだった。傷ついた人の心の隙間に入るのは容易い事だ。拓海とまずメアドを交換してさよならした。私は何事も無かったかの様に慎吾の所へと戻った。それから、現在に至る……
セックスし終わって一息ついたところに拓海が「なあっ、亜澄、お腹すいただろ」「うん」「俺飯作ってくるから、下で待ってて。二人っきりでは、食べられないけど…親父、いるから」「ありがとう。わかった」私達は下へ降りて拓海は台所へ向かって私はこたつのある部屋へ行って温もっていた。やがて台所から声がして亜澄ー運ぶの手伝ってーと聞こえた。返事をして拓海の元へと向かった。親父さんの分まで運んで皆各自自分の席へとついた。拓海の作るご飯は美味しかった。でも私はこの時から喉に異変を感じ始めていた。食べ終わった食器を片付けて拓海は洗い物をしなけりゃいけなかったから私はしんどかったので先に部屋戻っとくね、と拓海に告げ部屋に戻った。部屋に戻ってすぐにベットへ倒れた。それからどれくらい時間が経ったのだろう、目が覚めると横で拓海も寝ていた。体が火照っている。これは風邪を引いたな、と思った。ゴホ、と咳も出た。ゴホンゴホン言わしていると拓海が起きて「亜澄…起きた?どした?」「拓海…寝ちゃってごめんね…私風邪引いた」「ええっ!?俺キスしまくったんだけど!」「え?なんて?」拓海は急いで口を紡いで「いや…なんでもねぇよ…」と言った。時刻は午前3時だった。「悪いんだけど拓海…送ってってくれない?」「ああ、いいぜ…ちょうど遠征がない日で良かったよ」「うん」私はぼうっとしていた。くらくらする。「大丈夫か…?」拓海が額に手を当ててくる。「熱っ…熱あるな、こりゃ」「ごめんね」「いいよ、謝んなくて」マスクと冷えピタを貰って車へと乗り込んだ。私の家へと走り出す。
「着いたよ」「うん…ありがとう」私は車を降りた。運転席まで行って「送ってくれてありがとね、気を付けて。おやすみ」次の瞬間私の体は横へと投げられていた。え?「てめえどういうつもりだコラァ」し、慎吾…なんで分かったの?ずっと起きてたの?待ち伏せしていたの?拓海を運転席から引きずり降ろして「どういう事か説明しろや、あ?」と明らかに激怒している。「何もやましい事なんかしてませんよ、離してください」拓海は咄嗟に嘘をついていた。「あ!?ふざけんなっ」バコッ、と慎吾が拓海にアッパーをかました。ヤバイ、ヤバイ。でもしんどくて体が思うように言う事を聞かない。「何すんだあんたっ」拓海も負けじとカウンター攻撃。騒ぎを聞きつけた毅がやって来て「なんだなんだお前らやめろって」「勝手にしろっ」バタンと車のドアを閉めて拓海は逃げた。それでいいよ、拓海…こいつは、口で言っても聞かない奴だから相手にするだけ無駄…。「待てこのやろ」「なあ!!落ち着けって、慎吾!」「あん!?」「亜澄も見てるんだから…喧嘩したってしょうがないだろ」ハァハァと肩で息をする慎吾は「ちいっ…」その場にどかっと座り込んで煙草に火をつけた。「亜澄大丈夫か?」「毅、止めてくれて、ありがとね、助かっ…ゴホッゴホッ」「おいおいまさか…」「そのまさかとはなんだそのまさかとは、え!?おい!てめえの風邪があいつに移ったってのかよ!?んでお前は風邪全快…どういうつもりだこれは、え?亜澄」「亜澄は俺を看病してくれただけだ、何も悪くない」「この野郎…」「慎吾落ち着けっ」